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《米国株 レバレッジETF 第4弾》レバレッジETFの長期運用!元指数との倍率を比較し、何倍になっているのか調べてみました!《SPXL・TECL・SOXL・TNA》

2022-01-10

おはこんばんは!たこやきです。

今回は、レバレッジETF検証シリーズ 第4弾として、

「レバレッジETFのSPXL・TECL・SOXL・TNAが、元指数と比較して何倍になっているのか?」

を検証してみました!

これらのレバレッジETFは、「元指数の日々の値動き3倍を目標に運用」、とうたわれています。

あくまで日々の値動きの3倍、です。

でもこれ、年単位では、元指数と比べて何倍くらいになるのでしょうか?

年単位、さらに上場以来のトータルリターンで、何倍になっているか!調べてみました!

衝撃の事実が分かったので、ぜひ参考にしてください!!

初めに:レバレッジETFは長期保有には向かない?

一般的には、レバレッジETFは長期保有には向かない、と言われています。

証券会社のサイトにも必ずと言っていいほど書いていますし、投資系のブログ・Youtuberの多くもそう言っています。

でも、どうして長期保有に向かないのでしょう?

長期保有に向かない理由:レバレッジにより、逓減効果が強くあらわれてしまう

逓減 (ていげん) 効果(漸減(ぜんげん)効果とも)は、簡単に言うと

「元指数の値段が上がったり下がったりすると、元指数より大きな倍率で安くなってしまう」現象

ですね。

この現象を説明します。

仮に、S&P500インデックス(以降SPX)が「100$」だったとします。

ある日、10%上昇した、とします。次の日、10%下落した、とします。

さあ、SPXはいくらになっているでしょう!?

…計算しなければ、「同じだけ上がって下がったんだし、もとの100$じゃね?」と思いますよね?

でも、違います。実際に計算してみましょう。

1日目 : 100$ × 0.90 = 90$

2日目 : 90$ × 1.10 = 99$

はい、1$だけ減っています。

ただし、これはただ単に-10%の後に+10%となると、ほんの少し減っているだけ。ただ計算上そうなっただけ、です。

厳密にはこれは逓減効果とは言いません。

では、レバレッジETFの場合では、どうでしょう?

SPXに対応するレバレッジETF、SPXLの場合 の場合、「日々の値動きの3倍」ですので、

一日目の+10%は+30%二日目の-10%は-30%

になりますよね。

SPXLの場合も同様に、100$から開始として計算してみましょう。

1日目 : 100$ × 0.70 = 70$

2日目 : 70$ × 1.30 = 91$

あれ?91$になってる???

元指数の値動きに対して9倍、解離してしまったわけです。3倍×3倍、というわけですね。

これが、「逓減効果」です。

この逓減効果こそが、一般的に言われているレバレッジETFの欠点、長期保有に向かない理由です。

仮に、SPXが一定の値幅を上下しており、値段の上限・下限が変わらないようないわゆる「レンジ相場」だった場合、

SPXは平行棒のチャートになるのに対し、レバレッジETFであるSPXLは、右肩下がりのチャートになってしまいます。

実際、SPXなどは上がったり下がったりしながら、長期目線では上昇していくものです。

しかも、よく「トレンド相場が3割、レンジ相場 (トレンド相場以外、という意味) が7割

なんて言いますので、逓減効果レバレッジETFのパフォーマンスをかなり下げることになるのがご理解いただけたと思います。

レバレッジETFと元指数との比較

以上をふまえて、さっそくレバレッジETFと元指数のパフォーマンスを比較していきます。

逓減効果があるから、長期では レバレッジETFと元指数 の差は縮まっていくはず、ですよね…。

SPXL と SPX を比較

では、SPXLと、元指数のSPXのパフォーマンス比較です。上場以来、14年間の比較ですね。

始値 終値 年別リターン トータルリターン
20084.813.030.630.63
20093.094.381.420.91
20104.495.961.331.24
20116.085.070.831.05
20125.337.301.371.52
20137.7315.952.063.32
201415.7821.931.394.56
201522.2220.720.934.31
201619.6626.941.375.60
201727.4744.331.619.22
201844.7332.900.746.84
201931.3266.082.1113.74
202067.1072.251.0815.02
202173.05137.081.8828.50
SPXL(2021は11/15現在まで)
始値 終値 年別リターン トータルリターン
20081467.97903.250.620.62
2009902.991115.101.230.76
20101116.561257.641.130.86
20111257.621257.601.000.86
20121258.861426.191.130.97
20131426.191848.361.301.26
20141845.862058.901.121.40
20152058.902043.940.991.39
20162038.202238.831.101.53
20172251.572673.611.191.82
20182683.732506.850.931.71
20192476.963223.781.302.20
20203244.673756.081.162.56
20213764.614682.861.243.19
SPX (2021は11/15現在まで)
年別リターン トータルリターン
20081.021.02
20091.151.20
20101.181.45
20110.831.23
20121.211.56
20131.592.63
20141.253.25
20150.943.09
20161.253.67
20171.365.06
20180.794.01
20191.626.26
20200.935.87
20211.518.93
SPXL/SPX (2021は11/15現在まで)

ん?

逓減効果があるにもかかわらず、投資開始から約6年の2014年からはSPXLが3倍以上のリターンに!

2021年ではSPXLのほうが8.93倍もパフォーマンスが上になっています!?

私は今まで、

「逓減効果があるから、元指数と比べて、毎年3倍未満になる」

「運用期間が長くなればなるほど、元指数との倍率も低くなっていく」

と思っていました。だから長期運用には向かないって、みんな言ってたもん…。

レバレッジETFのパフォーマンスがすごいのは、あくまで元指数のパフォーマンスがすごいからであって、レバレッジETFのパフォーマンス倍率は、あくまで元指数の3倍未満になるんじゃなかったの?

どうやら違うようですね…。

じゃあ、他のレバレッジETFではどうなっているのでしょう?

TECL と XLK を比較

始値 終値 年別リターン トータルリターン
20090.340.992.912.91
20101.021.141.123.35
20111.160.910.782.68
20120.961.221.273.59
20131.312.281.746.71
20142.253.481.5510.24
20153.553.641.0310.71
20163.444.991.4514.68
20175.0811.222.2133.00
201811.378.500.7525.00
20198.0024.183.0271.12
202024.8540.651.64119.56
202141.1478.691.91231.44
TECL (2021は11/15現在まで)
始値 終値 年別リターン トータルリターン
200915.5022.931.481.48
201023.1425.191.091.63
201125.3825.451.001.64
201225.8728.851.121.86
201329.6235.741.212.31
201435.6241.351.162.67
201541.6142.831.032.76
201642.0648.361.153.12
201748.6763.951.314.13
201864.2161.980.974.00
201960.7191.671.515.91
202092.50130.021.418.39
2021130.68167.291.2810.79
XLK (2021は11/15現在まで)
年別リターン トータルリターン
20091.971.97
20101.032.06
20110.781.63
20121.141.93
20131.442.91
20141.333.84
20151.003.87
20161.264.70
20171.688.00
20180.776.25
20192.0012.02
20201.1614.25
20211.4921.44
TECL/XLK (2021は11/15現在まで)

投資開始から約5年で、元指数の3倍を超えましたね。あくまで13年間の話ではありますが、TECLがアンダーパフォームしたのは、たった2回。SPXL同様、2014からは3倍をこえ、現在21.44倍のパフォーマンス。…なんだこれは、バグかな?

SOXL と SOX を比較

たこやきの大好きな、SOXLではどうでしょう。

始値 終値 年別リターン トータルリターン
20100.640.430.670.67
20110.850.430.510.67
20120.460.420.910.66
20130.431.152.671.80
20141.132.251.993.52
20152.291.780.782.78
20161.683.812.275.95
20173.919.192.3514.36
20189.355.550.598.67
20195.1818.323.5428.63
202019.0131.101.6448.59
202131.6761.121.9395.50
SOXL (2021は11/15現在まで)
始値 終値 年別リターン トータルリターン
2010341.54411.821.211.21
2011414.76364.440.881.07
2012371.62384.061.031.12
2013392.77535.031.361.57
2014530.67686.871.292.01
2015690.28663.480.961.94
2016650.44906.471.392.65
2017910.801253.051.383.67
20181261.031155.170.923.38
20191131.471849.621.635.42
20201875.342795.501.498.18
20212821.993757.911.3311.00
SOX (2021は11/15現在まで)
年別リターン トータルリターン
20100.560.56
20110.580.63
20120.880.58
20131.961.15
20141.541.75
20150.811.43
20161.632.24
20171.713.91
20180.652.56
20192.165.29
20201.105.94
20211.458.68
SOXL/SOX(2021は11/15現在まで)

意外ですが、元指数との比較という点においては、SPXL/SPXとほぼ同等、ですね。おもしろい。

投資開始から約7年で、元指数の3倍を超えました。SPXLやTECLより年月がかかっています。

TNA と RUT を比較

ついでといってはなんですが、TNAとラッセル2000指数の比較です。

始値 終値 年別リターン トータルリターン
200814.388.520.590.59
20098.7610.691.220.74
201011.1718.111.621.26
201118.6011.210.600.78
201212.0515.991.331.11
201317.1438.722.262.69
201438.4240.471.052.81
201540.9031.770.782.21
201630.1050.581.683.52
201752.3670.271.344.89
201871.3242.090.592.93
201940.4871.991.785.01
202073.2666.320.914.61
202167.61107.401.597.47
TNA(2021は11/15現在まで)
始値 終値 年別リターン トータルリターン
2008765.89499.450.650.65
2009499.51625.381.250.82
2010628.11783.651.251.02
2011793.54740.920.930.97
2012750.69849.351.131.11
2013849.351163.641.371.52
20141160.501204.691.041.57
20151209.981135.880.941.48
20161134.071357.121.201.77
20171357.981535.511.132.00
20181536.111348.550.881.76
20191346.101668.461.242.18
20201675.901974.851.182.58
20211975.772411.771.223.15
RUT(2021は11/15現在まで)
年別リターン トータルリターン
20080.910.91
20090.970.91
20101.301.23
20110.650.81
20121.171.00
20131.651.77
20141.011.79
20150.831.49
20161.401.99
20171.192.44
20180.671.66
20191.432.30
20200.771.79
20211.302.37
TNA/RUT(2021は11/15現在まで)

これは悲しい結果になりました。14年間で5年、アンダーパフォームする年があり、トータルでは現在2.37倍

傾向がはっきりしてきましたね。

毎日3倍レバレッジに有利な条件がある?

これは確実に、何らかの有利な条件が掛かっていますよね。

少し調べていただくとわかることですが、毎日3倍レバレッジに有利な効果があります。

「増価」「減価」です。

「増価」と「減価」について

「増価」と「減価」をひと言でいうと、

「元指数の値段が上がり続ける(下がり続ける)と、元指数より高くなってしまう(安くなってしまう)」現象

です。

仮に、2日連続で+10%になった場合の、元指数とレバレッジETFの変化を記してみましょう。始値はどちらも、100$とします。

元指数 : 100$ × 1.10 × 1.10  = 121$

レバレッジETF : 100$ × 1.30 × 1.30  = 169$

元指数が+21$に対し、レバレッジETFは+69$。リターンは69÷21=3.285…、約3.29倍です。

2日連続上昇で、3倍より多くなっていますね。これはウレシイ!

これが、「増価」です。

連続で上がり続ければ、3倍よりどんどん増えていく、ってことですね♪

では、元指数が2日連続で-10%になった場合も計算してみましょう。

元指数 : 100$ × 0.9 × 0.9  = 81$

レバレッジETF : 100$ × 0.7 × 0.7  = 49$

元指数-19$に対し、レバレッジETFは-51$。51÷19=2.684…変化は約2.68倍ですね。

これが「減価」なんですが、3倍以上ではないですね。

じつは減価も、レバレッジETFには有利に働くようです。

…もっとも、たった二日で元値の半分になっているのに、「有利なんだ!」っていうのも変な話ですがね。大損こいてます…。

では、元指数が2日連続で+10%、さらに2日連続で-10%となった場合はどうでしょう?

元指数 : 100$ × 1.1× 1.1 × 0.9 × 0.9  = 98.1$

レバレッジETF : 100$× 1.3 × 1.3 × 0.7 × 0.7  = 82.8$

元指数-1.9$に対し、レバレッジETFは-17.2$。-17.2÷-1.9=9.052…

変化は約9.05倍

増価と減価で若干、増価の方が効果が大きいので、逓減効果による減少効果より0.5倍分、有利に働いています。

でも、元指数がほとんど値動きがないのに対し、レバレッジETFはかなりの損失ですよね。

逓減効果がレバレッジETFに与える影響が極めて大きいことが、よくわかります。

たった4営業日でこの減少です。日数が増えれば増えるほど、逓減効果は強くなりますので…

米国市場の1年間の営業日が約240日…考えたくありませんが、計算してみました。

元指数 : 100$ × 1.1120 × 0.9 120  = 29.94$

レバレッジETF : 100$× 1.30 120  × 0.7 120  = 0.0012$

かぎりなく0に近づきました。逓減効果の恐ろしさ、分かっていただけたかと思います。

長期投資にとって、逓減効果は大敵のようですね。

レバレッジETFが元指数をオーバーパフォームする条件とは?

今までのことから、レバレッジETFが元指数を超えた結果を出すためには、以下の条件が必要になるかと推測できます。

① 運用期間中、終値が前日比プラスの日の方が、マイナスの日より多い必要がある(元指数がプラスになる条件より、より多い日数が必要)

② 運用期間中、前日比プラスの値幅が、マイナスよりも多い必要がある (元指数がプラスになる条件より、より多い値上げが必要)

でもこの条件、実際のチャートで本当に再現されることなんでしょうか?確認してみる必要があります。

実際のチャートで、条件の精査をしてみた!

そこで、これらの条件を、実際のチャートで精査しました!

各レバレッジETFについて、上場以来の前日比プラス日数、前日比マイナス日数、前日比値動き無し、プラス%の平均値、マイナス%の平均値、について、調べてみました。

一つ一つ調べていくのはさすがに大変なので、チャート確認アプリ「TradingView」の「Pine Script」にて、自作インジケーターを作って計算しました。

ですので、誤差・間違いがあるかもしれないことをご了承ください。

ちなみにTradingView、いろいろなことができて、とっても楽しいです。自作インジケーターについてまとめた記事も、よかったら参考にしてみてください。

ETF前日比プラス日数 前日比マイナス日数 値動き無し日数平均プラス% 平均マイナス%
SPXL1817日
(55.4%)
1445日
(44.1%)
16日
(0.5%)
+2.2%-2.38%
TECL1829日
(56.3%)
1411日
(43.4%)
9日
(0.3%)
+2.58%-2.78%
SOXL1597日
(54.3%)
1340日
(45.6%)
4日
(0.1%)
+3.62%-3.68%
TNA1762日
(53.8%)
1511日
(46.1%)
5日
(0.2%)
+3.05%-3.19%
2021は11/15現在までの比較

意外な結果ですね…。

平均プラス幅より、平均マイナス幅の方が大きいんですね。でもどの指数も長期的にはプラスですし、どうも条件②はあまり重要では無いようです。

そして、さらに意外なのは前日比プラスの日数はTECLが最高、ということ。勝手にSPXLのほうが多いと思っていました…。

とはいえ、最低のTNAと比べて、たった2.54%の違い、です。

この前日比プラス日数の差、たった2.54%が、TECLTNAのパフォーマンスを圧倒的な差にしてしまっているのですね。

TNAのほうが、プラス時の値動きは大きいのにもかかわらず、ですよ。

いかに、逓減効果が大きな影響を与えているのかが、実際のETFのチャートでも確認できました。

ただし、この検証は、実際の価格変動を決定するすべての条件を考慮しているわけではありません。他にもレバレッジETFのパフォーマンスに影響する要素があるかもしれませんので、あしからず…。

…いや、調べるのすっごい疲れた。

各レバレッジETFのパフォーマンス結果を説明する

これで、各レバレッジETFと元指数とのパフォーマンス比較結果が、説明できると思います。

レバレッジETFと元指数のパフォーマンス比較
ETF条件①条件②評価
SPXL
TECL
SOXL
TNA××
◎:とても良い  〇:良い △:まあまあ ×:イマイチ

SPXL:安定した上昇日数=逓減効果が少なくて済む。ただし、値動きが小さく、リターンはふつう

TECL:もっとも安定した上昇日数。値動きはすこし小さめだが、リターンは大きい

SOXL:上昇日数はすこし少な目。値動きは最も大きいが、リターンはふつう

TNA: 上昇日数が少な目。値動きは大きいが、リターンは少ない

単純にガチホするならば、TECLが元指数を大きく超える結果を出せるようですね。

勘違いしないでほしいのですが、この結果はあくまで「元指数との比較」です。

SOXLが上場した日から、よーいどんでトータルリターンを比較した場合、SOXLのリターンは他のレバレッジETFを凌駕します。

投資開始時期、終了時期によっても、検証結果は大きく変わることはご了承ください。

《レバレッジETFと元指数ETFとの倍率比較:まとめ》

① レバレッジETFは、元指数の日々の値動きの3倍に連動している

② レバレッジETFは、元指数の価格が上下すると、元指数より大きく下落してしまう。これを逓減効果という

③ 逓減効果があるにも関わらず、SPXLTECLSOXLは、長期的には元指数の3倍をはるかに超えたパフォーマンス!TNAのみ、3倍には届いていない

④ レバレッジETFのパフォーマンスは、逓減効果を減らすことが重要上昇日数の多さ・安定性がパフォーマンスを決める!

⑤ あくまで投資は自己責任で!

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